中小企業が知っておくべき、「働き方改革」の本当の姿について(残業の上限規制は少子化対策なのか、労働者の意識の変化について)

働き方改革という言葉は皆さんよく耳にされると思います。 しかし、働き方改革の本当の姿を知っている人は少ないのではないでしょうか。 ここでは、なるべくわかりやすく働き方改革について解説し、中小企業はそれをどうとらえるべきかについて記したいと思います。 働き方改革をざっくりまとめてしまうと次の3点です。 ①長時間労働の是正 ②パートタイマー、有期、派遣などの非正規労働者の待遇改 ③生産性の向上 今回は、①長時間労働の是正について取り上げたいと思います 長時間労働の是正するために、法律で時間外労働を原則として月45時間まで、年360時間までと規制することになりました。 なぜ、労働時間の上限をすることが必要なのでしょうか。 働く人の健康確保も理由としてありますが、それだけではありません。実は、少子化対策も理由の一つとされています。 少子化などによる労働力不足が叫ばれる中、労働時間の上限を規制することは、労働力不足を一層加速させるとも考えられます。確かに短期的にそのような混乱が起こる可能性は高いといえます。 それにもかかわらず、国が法律で労働時間の上限を定め、長時間労働の是正しようとしているのはなぜでしょうか。 それは、これまで以上に女性を労働力としてあてにしているからなのです。 女性管理職の婚姻率、出産率の低さが問題とされることがあります 長時間働けないと会社で評価されないような価値観をそのままにして、女性がこれまで以上に社会に進出していけば、ますます少子化が進み、将来の労働力はより不足することになりまねません。 国は、法律で労働時間の上限を定め、上限を超えて働かせることを違法とし罰則を科すことで長時間働けないと会社で評価されないような価値観を強制的に変えさせようとしているのです。 つまり、労働時間の面で女性が働きやすい環境を整えることで一層の社会進出を促しつつ、男性には家庭での時間を増やし、積極的に家事や育児・介護に参加してもらう、ということです。 長時間労働の是正が少子化の歯止めになるかについては、反対意見もあります。国の狙い道理に進む保証もありません。 ただ、法律が改正され、会社がその対応を求められる中、会社で働く人の意識も大きく変わっていくことは予想できます。かつての週40時間労働(週休2日)への移行がそうでした 労働の評価基準を「時間」から「質」へとどう変化させるか、女性をどう活用するか、男性の育児参加への要望にどう対応するか、会社の経営者は答えをださなければなりません。 大きな変化は目前まで迫っています。会社の経営者・幹部は、その変化がどのようなものかを知ったうえで、うまく適応していくことが求められているのです。